作成日:2019/10/14 by AM   

 淡交フィルハーモニー管弦楽団 創立70周年記念演奏会は、2019年8月11日(日)14時より、大田区民センターアプリコ大ホールで、 保科洋先生(51回)の指揮の下、淡交フィル総勢約80名で開催されました。
 当日は猛暑の中を、900名近くのお客様にご来場をいただき、誠にありがとうございました。

 さて、今回の記念演奏会の企画ですが、2018年の年初に、新田ユリ先生(77回)に指揮をお願いできないかとお話をした際に、 先生からは、「70周年ということであるならば、早川正昭先生(49回)と保科洋先生にご登壇いただくことをまず検討すべきではないか」 との強いご提案をいただきました。
そこから、先生方との日程の調整や、曲目の決定、ソリストのお願いなどを経て、今回の記念演奏会に結実したという次第です。

 さて、記念演奏会の開演です。
前半は、早川先生、保科先生の曲目を中心のプログラムとしました。
冒頭の保科先生作曲の「風紋」は、1987年の全日本吹奏楽コンクール課題曲ということで、吹奏楽関係者では知らない人がいない という名曲でもあり、冒頭の風のうねりを聴くだけでその風景の中に惹き込まれてしまったのではないかと思います。 それに、何と言っても作曲者自身の指揮ですので、オーケストラも先生の風格ある指揮棒にすっかり魅せられてしまいました。
続いて、チェロの協奏曲であるドイツの作曲家ブルッフの「コル・ニドライ」です。
ソリストの植草ひろみさんは、淡交フィル創立メンバーである故植草寛之助氏(49回)のご令嬢であり、快く出演をお受けいただきました。
ユダヤの旋律からなる敬虔な響きのこの曲を、美しい音色で演奏いただきました。
次は、早川先生が高校1年の時に作曲された曲をチェロとハープの協奏曲として新たに書き下ろされた「牧歌」です。
ハープはNHK交響楽団のハーピストの早川りさこさんで、もちろん早川先生のご令嬢であり、植草さんとは幼馴染にして 今もずっと一緒に活動をされているご親友でいらっしゃいます。
世界初演となる曲を一緒に演奏させていただき、オーケストラとしても感激ですが、お二人には本当に息の合った 抒情的な調べを奏でていただきました。
そして、今度はハープの協奏曲として早川先生が琵琶の独奏曲を作曲し直された「月児高」です。
中国風の懐かしい感じの旋律を、美しいハープの音色が次から次へと紡いでいく、そんな感じがしたのではないでしょうか。
前半最後を飾るアンコールは、植草さんと早川さんのデュオで、アンドレ・ギャニオン作曲の「明日」でした。
平原綾香の歌でもヒットした曲ですが、チェロとハープで切々と演奏されるのを聴いていて、思わず涙が出そうになったのは、 私だけではないのではないでしょうか。

 休憩後に、新田先生の司会により、早川先生、保科先生、そして当団の現役トランペット奏者の桑村益夫氏(50回)との 対談をしていただきました。
創立当時のお話をご披露いただくとともに、今後の淡交フィルへの熱い期待もお話しいただきました。
予定の時間を大幅に超えてしまいましたが、聴衆の皆さんからは大変良い対談だったとのお言葉を多くいただきました。

☆ 新田先生、早川先生、保科先生、桑村益夫氏(50回)の対談 ☆

≪ ☆ 対  談 ☆ ≫

 さて、メイン曲はベートーヴェン交響曲第5番の「運命」です。
クラシックを代表する曲ですので、団員も何回も演奏していますし、淡交フィルでも定期的に演奏会を開催することになった 1980年以降でも5回目の演奏となります。
ただ、演奏は指揮者の解釈や演奏者のその時の技量などで大きく変わります。
私どもが指揮法でも著名な保科先生のダイナミックな指揮棒についていけたかどうかはわかりませんが、それでも聴衆の皆様には 70年続けてきた淡交フィルの歴史の重みのようなものを感じていただけたのではないかと思う次第です。
アンコールは、保科先生が2001年に永らく勤められた大学を定年退官されるにあたって作曲されたという「懐想譜」です。
「人生も終わりに近い老人が、庭のベンチでコーヒーを味わいながら、過ぎ去った日々を懐かしんでいる」という 情景から始まる曲目ですが、静かな中にも心情の起伏もあり、聴く人にも何か自分の人生を懐想するような気持を 抱いていただけたのではないかと思います。
そして、最後は言わずもがなの校歌です。
今回は、特に両高関係者の比率が高かったと思われますので、会場からの歌声もとても大きく美しくホールに響きわたりました。
その後のカーテンコールでは、保科先生のみならず、早川先生には新田先生から、また桑村さんにはトランペットの後輩奏者から 花束が授与され、会場からの惜しみない拍手に包まれつつ、淡交フィル創立70周年記念演奏会の幕が閉じられました。

その後、演奏会場近くのレストランで開かれた記念レセプションには、お疲れのところ、早川先生、保科先生、植草ひろみさん、 早川りさこさん、それに新田先生をはじめ、淡交会や後援する会の多くの皆様にもご出席をいただき、楽しく過ごすことができました。
淡交会からは常任理事の小出一成様(60回)からお祝いと激励のお言葉をいただきました。
保科、早川両先生からは、創立70周年という機会に出席できたことの喜びと、創設時のご苦労はご謙遜されつつも、その後70年もの間、 オーケストラを継続してきた歴代の団員の努力について、大きく讃えていただきました。
現役の中堅団員はもちろん、中高生を含む若手の団員も、今後の淡交フィルの歴史をしっかりと刻んでいくべく、 決意を新たにいたした次第です。

 さて、次回の第64回定期演奏会は、江戸川区総合文化センターで、2020年2月16日(日)14時より、新田ユリ先生の指揮により 開催いたします。
プログラムは、ブラームスの悲劇的序曲、ドヴォルジャークの交響詩「水の精」、同じくドヴォルジャークの交響曲第6番の3曲です。
今回の演奏曲目は淡交フィルのことを知り尽くされている新田先生からご推薦のあったものから選んでおり、私どもとしては、 かなり背伸びをしなければなりませんが、互いに影響しあった二人の作曲家による1880年代の序曲、交響詩、交響曲という とてもバランスの取れた良いプラグラムと感じています。
実は、次々回の第65回定期演奏会(2020年7月26日(日) ティアラこうとう)も、新田先生に振っていただけることになっていますので、 2021年7月の両国高等学校創立120周年での記念演奏も視野に入れつつ、2020年は、しっかりオーケストラとしての研鑽を積んで 参りたいと思います。
是非、淡交会の皆様には引き続きのご支援ご鞭撻をお願い申し上げます。

淡交フィルハーモニー管弦楽団 団長 長谷川英一(72回)