作成日:2017/09/21 by AM    
『年次テーマ』一覧はこちら
☆☆ タイトル ☆☆
☆ タイトル ☆

 資料室委員会は今年の両国祭(9月9、10日)で、「今、なぜ河合栄治郎か」というテーマで、 5回生・河合栄治郎に関する展示を行いました。
展示の構成は、「河合栄治郎が現代に問いかけるもの」という資料を中心に据え、これに横付けして帝国大学新聞に掲載された 「二・二六事件に就いて」という伏字が目立つ河合の論文を紹介し、続いて「著書の発禁処分と法廷闘争」および 「平賀粛学による休職処分」と題して、これらの事件を報じた一連の新聞記事を展示しました。
 「今、なぜ…」の答えは、これらの事件を通じて河合が身をもって示した、 自由主義者としての真骨頂の中にあるはずです。

 河合を取り上げるに際して資料室委員一同が頭を悩ましたのは、展示内容が硬いので、いかにしたら多くの方に 会場に来ていただけるかということでした。そのために、「今でも参考になる試験必勝法」という、 河合の著書「学生に与う」の中にある彼の勉強スケジュールを図表化したものを作成しました。
これは、両国受験を目指すお子さんたちの興味を引いたようで、「河合栄治郎語録」のコピーと共に多くの子供さんが持ち帰りました。
 さらに、“河合栄治郎の格言おみくじ”を作り、お子さんたちに引いてもらいました。
おみくじの中身は「本を読み続けているかいないかで、その人の一生の運命が定まる」といった硬い内容ですが、 子どもたちにとってはおみくじを引く(箱の中へ手を入れて選び取る)ことにワクワク感があるらしく大人気でした。
面白かったのは、小学校1年生くらいの子が「どんなに親しくても、金の貸し借りには手を触れてはならない」 というおみくじを引き当てた時でした。読んであげるとキョトンとしているので、「僕はまだ、お金の貸し借りはしないよね」 というと「うん」と素直な返事がありました。

☆☆ おみくじに殺到 ☆☆
☆ おみくじに殺到 ☆
☆☆ 何がでるかな ☆☆
☆ 何がでるかな ☆

 他に河合が三中時代に彼の生まれ故郷千住の情景を描いた作文、および学友会雑誌に掲載された河合の論説 『項羽論』と芥川龍之介(7回)がこれに対抗意識を持って書いたと思われる論説『義仲論』 を対比して取り上げた資料などを展示に加えました。  展示の最後には河合栄治郎と離れて、淡交会報のインタビューに登場した石田衣良さん(75回)、小池昌代さん(75回)、 山口恵以子さん(74回)の三氏をカラフルに紹介しました。

☆☆ 説明する原口さん ☆☆
☆ 説明する原口さん ☆
☆☆ 川西先生(前列中央)、松井先生(前列左) ☆☆
☆ 川西先生、松井先生と ☆

 今回の展示には河合栄治郎の研究者、川西重忠・桜美林大学名誉教授、松井慎一郎・聖学院大学准教授にご来駕いただき、 時間をかけて丁寧に展示をご覧になった両先生から、河合のことを良く理解した立派な展示であるとの評価を頂戴しました。

 なお、展示の入場者数は、2日間で1,383名と記録的な数に達し、これにはスタンプラリーのスタンプ台を 展示会場内に置いたことも大いに与っていると思います。
 来場者は例年どおり、本校の中学受験を目指すお子さんとその家族の方が大半を占めていました。
アンケート結果(回答数51)によると河合の名前を知っていた人は、35%おりましたが、 ほとんどは名前を聞いたことがあるといった程度でした。展示については、大変興味を待ったが25%、 少し興味を持ったが63%あり、少なくともアンケートに回答してくれた人は興味を持って見てくれたようです。
またほとんどすべての人が、河合に対して、“自身の信念を貫き、学者として立派である”ということに賛同しています。

資料室委員長・室賀五郎(60回)